
英国は、タイ国外でムエタイが深く根づいた国の一つです。黎明期に道を開いた選手から、タイのスタジアムや世界的プロモーションで戦う世代まで、独自の競技文化を築いてきました。ここでは英語版原稿が2024年に選んだ11人を、レジェンド6人と当時の新世代5人に分けて紹介します。
戦績、年齢、ランキング、現役状況は英語版原稿の掲載時点の情報です。試合後に変わるため、現在値としては扱わず、選手の歩みを知る参考にしてください。
英国ムエタイの歩み
英国でムエタイが本格的に広がる過程では、Master Toddyの名で知られるThohsaphol Sitiwatjanaが大きな役割を果たしました。「英国ムエタイの父」と呼ばれ、マンチェスターを拠点に選手と指導者を育てています。ロンドン初期のジムを開いたKru John Woodcockをはじめ、多くの指導者が1990年代以降の普及を支えました。
英語版原稿は2024年時点の目安として、英国に750を超えるムエタイジムがあり、さらに400を超えるMMAジムがムエタイを教えているという推計を紹介しています。正確な登録統計ではありませんが、タイで練習・試合を行う英国選手が増え、競技の裾野が広がったことを示す数字です。
英国ムエタイのレジェンド6人

1. Liam Harrison
リーズ出身の「The Hitman」。強いローキック、パンチ、前進圧力で知られ、WMCやWBCの世界王座を獲得しました。タイでも長く戦い、英国選手が世界で評価される道を広げた存在です。掲載時戦績は91勝26敗2分、50KOでした。
現在より海外遠征やタイでの練習環境が整っていなかった時代に、自分へ賭けて試合へ臨んだ経験を本人が語っています。その歩みは、現代の英国選手がタイへ渡ることが身近になるまでの変化も映しています。

2. Ronnie Green
「Machine Gun」の異名を持つRonnie Greenは、1974年に柔道と空手を始め、1978年にマンチェスターのMaster Toddyの下でムエタイへ転向しました。翌1979年に初試合を経験し、異なる格闘技の動きを組み合わせた独特のリズムで欧州、タイ、世界の強豪と戦いました。
Lucien Carbin、Gilbert Ballantine、Pete “Sugarfoot” Cunningham、Sagat Petchyindeeらとの対戦で知られます。初期資料の違いから、正確な通算戦績は確定しにくい選手です。

3. Iman Barlow
「Pretty Killer」の異名を持つ英国女子ムエタイの先駆者です。9歳で競技を始め、WBC Muay Thaiインターナショナル・スーパーバンタム級、Lion Fightスーパーバンタム級などの王座を獲得。若くして英国タイトルを手にし、後に続く女子選手の存在感を高めました。
2024年4月にプロ競技からの引退を発表。掲載時戦績は97勝6敗3分、38KOです。

4. Jordan Watson
6歳でムエタイを始め、アマチュアで70試合以上を経験。17歳だった2004年にプロへ転向しました。YOKKAOの70kg世界王座を獲得し、相手に応じて戦い方を変えられる技術で国際舞台に実績を残しています。Liam Harrisonと同じBad CompanyでRichard Smithの指導を受け、掲載時戦績は69勝15敗2分、22KOでした。

5. Andy Howson
「The Punisher」「Lord of War」と呼ばれた攻撃的な選手です。Bad Companyでキャリアを築き、スーパーバンタム級で5度の世界王座、2度のコモンウェルス王座、欧州王座、2度の英国王座などを獲得しました。
2015年に引退後も、2018年の英国大会と2020年のONE Championshipで復帰。掲載時戦績は81勝14敗1分です。

6. Damien Trainor
14歳でK-Star Legacy Gymに入り、16歳でプロへ転向。17歳で英国王者となり、その後4つの欧州タイトルと2つの世界タイトルを獲得しました。タイで暮らしながら練習と試合を経験し、2016年の引退後はジムとオンラインで技術を伝えています。
Parangchai、Tawatchai Budsadee、Kaewklaa Kaewsamritらタイの強豪と対戦し、掲載時戦績は62勝21敗2分です。
英語版が2024年に注目した新世代5人

1. Jonathan Haggerty
「The General」。7歳で練習を始め、12歳で試合へ出場しました。正確な技術と距離感でSam-A Gaiyanghadao、Nong-O Gaiyanghadaoらに勝利し、ONE Championshipの世界タイトルを獲得した世代を代表する選手です。英語版掲載時はSuperlek戦後で、戦績は23勝5敗、16KOでした。

2. Joe Ryan
2004年生まれ。英国人として初めてラジャダムナン・スタジアムのミドル級王座を獲得した選手として紹介されています。2023年の同王座に加え、WMO、WBC、ISKAのミドル級タイトルを獲得。掲載時戦績は16勝1敗1分、8KOです。

3. Alfie Pearse
ISKA英国王座とインターコンチネンタル王座を各2度、SKS世界王座を獲得。英語版掲載時にはラジャダムナンの140ポンド級8位と紹介されました。相手を読み、タイミングと技術で戦うムエフィームー型で、掲載時戦績は20勝2敗です。

4. Nico Carrillo
スコットランド出身の「King of the North」。WMOウェルター級世界王座、ISKA Muay Thai 65kg世界王座などを獲得し、強い圧力とフィニッシュ力で支持を集めました。英語版掲載時にはONE Championshipバンタム級ムエタイ1位、戦績27勝3敗1分、11KOと記されています。

5. Stuart Stabler
爆発力のある攻撃で英国のファンを沸かせた選手です。4年以上試合から離れた後、復帰を発表した時期に英語版が注目選手として掲載しました。最後に記載されたJonno Chipchase戦では2ラウンドTKO勝利。掲載時戦績は10勝0敗、6KOです。
英国ムエタイが示したもの
Ronnie Greenらが道を開き、Liam HarrisonやIman Barlowが世界で評価を高め、次の世代がタイのスタジアムと国際大会へ進みました。時代も戦い方も違いますが、タイの技術と文化を学びながら英国独自の層を育てた点は共通しています。
原文執筆:GYM NASTY







